SNS運用代行契約書をチェックするときに見るべき著作権条項とは?発注者・代行業者が確認したいポイント

SNS運用代行を依頼するとき、費用や投稿本数、レポートの内容などは確認していても、

著作権に関する条項までは十分に確認できていないというケースは少なくありません。

しかし、SNS運用代行では、投稿文、画像、バナー、動画、リール、サムネイル、

広告用クリエイティブなど、さまざまな制作物が生まれます。

そのため、契約書で著作権の扱いをあいまいにしたまま進めてしまうと、

  • 作成された投稿を契約終了後も使ってよいのか
  • 投稿画像を広告やホームページに転用してよいのか
  • 代行業者が制作実績として掲載してよいのか
  • 発注者が自由に修正・加工してよいのか
  • 著作権は発注者に移るのか、代行業者に残るのか

といった点で、後からトラブルになる可能性があります。

この記事では、SNS運用代行契約書をチェックするときに確認したい著作権条項について、

発注者・代行業者の双方の視点からわかりやすく解説します。

目次

SNS運用代行契約書で著作権条項が重要な理由

SNS運用代行では、単に投稿作業を代行するだけでなく、

投稿に使う文章や画像、動画などを制作することがあります。

たとえば、次のような制作物です。

  • Instagram投稿用の画像
  • XやInstagramの投稿文
  • リール動画・ショート動画
  • YouTubeサムネイル
  • 広告用バナー
  • キャンペーン投稿
  • ストーリーズ用画像
  • SNSプロフィール文
  • ハッシュタグ案
  • 運用レポート内の文章や資料

これらの中には、著作物にあたるものが含まれる可能性があります。

そのため、契約書で何も決めていないと、発注者側は「お金を払ったのだから自由に使えるはず」と考え、

代行業者側は「自分たちが作ったものだから権利はこちらにある」と考えるなど、

認識のズレが起きやすくなります。

SNS運用代行で作った投稿の著作権が誰のものになるのかについては、こちらの記事でも詳しく解説しています。

SNS運用代行で作った投稿の著作権は誰のもの?実務でよくあるトラブルを解説

まず確認したいのは「著作権の帰属」

SNS運用代行契約書でまず確認したいのは、制作物の著作権が誰に帰属するのかという点です。

契約書では、たとえば次のような定め方が考えられます。

  • 制作物の著作権は発注者に譲渡する
  • 制作物の著作権は代行業者に残る
  • 発注者は一定の範囲で制作物を利用できる
  • 個別に合意した制作物だけ著作権を譲渡する

ここがあいまいだと、後から大きなトラブルになりやすいです。

特に発注者側は、「SNSに投稿してもらうために作ったものだから、当然こちらのものになる」と考えがちです。

しかし、費用を支払ったことと、著作権が移転することは別の問題です。

そのため、制作物の著作権を発注者に移したい場合には、

契約書の中で著作権譲渡について明確に定めておく必要があります。

「著作権譲渡」か「利用許諾」かを確認する

SNS運用代行契約書では、著作権の扱いとして大きく分けると、著作権譲渡利用許諾の2つの考え方があります。

著作権譲渡とは

著作権譲渡とは、制作物の著作権を代行業者から発注者へ移す形です。

発注者側としては、制作物を自由に使いやすくなるというメリットがあります。

たとえば、

  • 投稿画像をホームページに掲載する
  • 広告バナーとして再利用する
  • チラシや営業資料に転用する
  • 一部を修正して別の投稿に使う
  • 契約終了後も継続して使用する

といった利用を考えている場合には、著作権譲渡を検討することがあります。

利用許諾とは

一方、利用許諾とは、著作権は代行業者に残したまま、発注者に一定範囲で利用を認める形です。

たとえば、「発注者のSNSアカウントで投稿する目的に限り利用できる」

「契約期間中のSNS運用に必要な範囲で利用できる」といった定め方です。

利用許諾の場合、発注者がどこまで使えるのかを具体的に決めておくことが重要です。

著作権譲渡と利用許諾の違いについては、こちらの記事でも詳しく解説しています。

SNS運用代行契約書で定めたい「著作権譲渡」と「利用許諾」の違いとは?

利用範囲は具体的に書かれているか

著作権条項をチェックするときは、どこまで利用できるのかを具体的に確認することが大切です。

たとえば、契約書に「発注者は制作物を利用できる」とだけ書かれていても、

それだけでは不十分な場合があります。

確認したいのは、次のような点です。

  • どのSNSで使えるのか
  • ホームページにも掲載できるのか
  • 広告に使えるのか
  • チラシやパンフレットに転用できるのか
  • 営業資料に使えるのか
  • 契約終了後も使えるのか
  • 画像や文章を修正して使えるのか
  • 第三者に再委託・再利用させられるのか

特に、SNS投稿用に作った画像や文章を、広告、ホームページ、LP、

チラシなどに転用したい場合は注意が必要です。

発注者側は、将来的に使いたい範囲まで考えたうえで契約書を確認することが大切です。

代行業者側も、どこまで利用を認めるのかを明確にしておかないと、想定外の使われ方をされる可能性があります。

契約終了後の投稿・制作物の扱い

SNS運用代行契約で特にトラブルになりやすいのが、契約終了後の制作物の扱いです。

たとえば、次のような問題が起こることがあります。

  • 契約終了後も過去の投稿を残してよいのか
  • 投稿画像を削除しなければならないのか
  • 発注者が過去投稿を広告に使ってよいのか
  • 代行業者が作成したテンプレートを使い続けてよいのか
  • Canvaやデザインデータの引き継ぎは必要か
  • 元データを発注者に渡す必要があるのか

発注者側としては、SNSアカウント上に投稿が残っていないと困ることが多いと思います。

一方で、代行業者側としては、契約終了後に制作物を無制限に使われることに抵抗がある場合もあります。

そのため、契約終了後も制作物を使えるのか、

使える場合はどの範囲までかを契約書で明確にしておくことが重要です。

実績掲載を認めるかどうか

SNS運用代行契約書では、代行業者が制作物を実績として掲載できるかも確認しておきたいポイントです。

代行業者側としては、自社サイトやSNS、営業資料などで、制作実績を紹介したい場面があります。

しかし、発注者側としては、次のように考えることもあります。

  • 自社名を出してほしくない
  • アカウント名を掲載してほしくない
  • 投稿画像を実績として使ってほしくない
  • 運用実績の数値を公開してほしくない
  • 契約終了後は掲載をやめてほしい

この点を契約書で決めていないと、「実績として載せてよいと思っていた」

「勝手に掲載されるとは思っていなかった」というトラブルにつながることがあります。

実績掲載については、次のような項目を定めておくと安心です。

  • 実績掲載を認めるかどうか
  • 掲載できる制作物の範囲
  • クライアント名を出せるか
  • ロゴやアカウント名を出せるか
  • 数値実績を掲載できるか
  • 事前承諾が必要か
  • 匿名化すれば掲載できるか
  • 契約終了後も掲載できるか
  • 削除依頼があった場合の対応

実績掲載については、こちらの記事でも詳しく解説しています。

SNS運用代行の実績掲載はどこまでOK?ポートフォリオ利用・事例紹介で揉めないためのポイント

著作者人格権の不行使条項も確認する

SNS運用代行契約書では、著作権だけでなく、著作者人格権についても確認が必要です。

著作者人格権とは、著作者の人格的利益を守るための権利です。

たとえば、制作物を勝手に改変されたくない、名前の表示をどうするか決めたい、といった場面で問題になります。

SNS運用代行では、投稿文や画像を後から修正したり、サイズ変更したり、

別媒体に合わせて加工したりすることがあります。

そのため、発注者側としては、制作物を実務上使いやすくするために、

著作者人格権の不行使条項を入れておきたい場面があります。

一方で、代行業者側としては、自分たちの制作物が大きく改変されたり、

意図しない形で使われたりすることを避けたい場合もあります。

そのため、単に「著作者人格権を行使しない」とだけ書くのではなく、

どのような利用・修正・加工を想定しているのかを整理しておくことが大切です。

著作者人格権については、こちらの記事でも詳しく解説しています。

SNS運用代行契約書で定めたい「著作者人格権」とは?投稿の修正・加工・リライトで揉めないためのポイント

素材・フォント・写真の権利も確認する

SNS運用代行では、代行業者が一からすべてを制作するとは限りません。

実際には、次のような外部素材を使うことがあります。

  • フリー素材サイトの画像
  • 有料素材サイトの写真
  • Canvaなどのテンプレート
  • フォント
  • イラスト素材
  • BGMや効果音
  • クライアントから提供された写真
  • 第三者が撮影した画像

この場合、契約書では、外部素材の利用条件も確認しておく必要があります。

たとえば、SNS投稿には使えても、広告やチラシには使えない素材が含まれている場合があります。

また、代行業者が使っている素材サイトのライセンス上、発注者が自由に二次利用できないケースも考えられます。

そのため、契約書では、

  • 外部素材を使用する場合のルール
  • 素材のライセンス確認を誰が行うのか
  • 発注者が提供した素材の権利確認
  • 有料素材の費用負担
  • 商用利用・広告利用の可否
  • 契約終了後の素材利用

なども整理しておくと安心です。

発注者側がチェックしたいポイント

発注者側がSNS運用代行契約書を確認するときは、特に次の点を見ておきましょう。

1. 制作物を契約終了後も使えるか

契約終了後に過去投稿を残せるのか、画像や動画を引き続き使えるのかを確認します。

2. 広告やホームページに転用できるか

SNS投稿としては使えても、広告やホームページへの転用までは認められていない場合があります。

3. 元データを受け取れるか

Canvaデータ、PSD、AIデータ、動画編集データなど、元データが必要な場合は契約書で明確にしておくべきです。

4. 実績掲載される範囲

社名、ロゴ、アカウント名、投稿画像、数値実績などをどこまで掲載される可能性があるのか確認しましょう。

5. 修正・加工ができるか

納品後に自社で文章や画像を修正してよいのか、別の投稿に使い回してよいのかも確認が必要です。


代行業者側がチェックしたいポイント

代行業者側も、著作権条項をきちんと確認しておくことが重要です。

1. 著作権をすべて譲渡する内容になっていないか

契約書によっては、制作物の著作権をすべて発注者に譲渡する内容になっていることがあります。

その場合、過去に作ったテンプレートやノウハウ、

汎用的なデザインまで譲渡対象に含まれてしまわないか注意が必要です。

2. 実績掲載ができるか

営業活動のために実績掲載をしたい場合は、契約書で掲載の可否や条件を明確にしておくことが大切です。

3. 使い回し可能な素材・テンプレートを区別できているか

代行業者がもともと持っていたテンプレート、ノウハウ、フォーマットなどは、

個別案件の制作物とは分けて整理しておくと安心です。

4. 外部素材の責任範囲

発注者から提供された素材に権利上の問題があった場合、

誰が責任を負うのかも契約書で確認しておきたいポイントです。

5. 契約終了後の利用範囲

発注者が契約終了後もどこまで制作物を使えるのかを明確にしておかないと、

想定外の利用につながる可能性があります。

契約書で定めておきたい著作権条項の例

SNS運用代行契約書では、少なくとも次のような内容を検討するとよいでしょう。

  • 制作物の著作権の帰属
  • 著作権譲渡の有無
  • 利用許諾の範囲
  • 利用できる媒体
  • 利用期間
  • 契約終了後の利用可否
  • 修正・加工の可否
  • 二次利用・転用の可否
  • 実績掲載の可否
  • 著作者人格権の不行使
  • 外部素材の利用条件
  • 発注者提供素材の権利確認
  • 元データの引き渡し
  • 第三者への再利用・再許諾の可否

これらをすべて一律に入れればよいというわけではありません。

大切なのは、実際の運用内容に合わせて、必要な条項を整理することです。

たとえば、単に投稿代行だけを依頼する場合と、画像制作・動画制作・広告運用まで含む場合では、

契約書で決めておくべき内容も変わります。

テンプレート契約書をそのまま使う場合の注意点

インターネット上には、業務委託契約書やSNS運用代行契約書のテンプレートが多くあります。

テンプレート自体が悪いわけではありません。

ただし、テンプレートをそのまま使うと、自社の取引内容に合っていない条項が含まれていたり、

逆に必要な条項が抜けていたりすることがあります。

特に著作権条項は、取引内容によって調整が必要になりやすい部分です。

たとえば、

  • 投稿文だけを作るのか
  • 画像制作も含むのか
  • 動画制作も含むのか
  • 広告運用も含むのか
  • 元データを渡すのか
  • 契約終了後も使うのか
  • 実績掲載を認めるのか

によって、必要な条項は変わります。

そのため、テンプレート契約書を使う場合でも、著作権条項だけは特に慎重に確認することをおすすめします。


まとめ

SNS運用代行契約書では、報酬や業務内容だけでなく、著作権条項をしっかり確認しておくことが大切です。

特に、次の点はトラブルになりやすい部分です。

  • 制作物の著作権が誰に帰属するのか
  • 著作権譲渡か利用許諾か
  • 制作物をどの範囲で利用できるのか
  • 契約終了後も使えるのか
  • 実績掲載を認めるのか
  • 著作者人格権の不行使を定めるのか
  • 外部素材や元データの扱いをどうするのか

SNS運用代行では、投稿画像や動画、文章など、後から再利用したくなる制作物が多く発生します。

だからこそ、契約前の段階で、著作権の扱いを明確にしておくことが重要です。

発注者側も代行業者側も、
「なんとなく大丈夫だろう」
ではなく、契約書の中で具体的にルールを決めておくことで、後のトラブルを防ぎやすくなります。

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