SNS運用代行では、投稿画像や動画、バナー、リール、投稿文、運用実績の数値など、
あとで「実績」として見せたくなる素材が数多く生まれます。
ただ、制作した側が「自分が作ったものだから自由に実績掲載できる」と考えるのは危険です。
実績掲載には、著作権だけでなく、著作者人格権や秘密保持の問題も関わってくるため、
契約書で何も決めていないと、あとからトラブルになりやすいポイントです。
特にSNS運用代行では、制作物そのものだけでなく、クライアント名、ロゴ、アカウント名、投稿画像、
画面キャプチャ、運用実績の数値など、「どこまで載せてよいのか」が曖昧になりやすいため注意が必要です。
この記事では、SNS運用代行における実績掲載の考え方と、
契約書で決めておきたいポイントをわかりやすく解説します。
SNS運用代行で「実績掲載」が問題になりやすい理由
SNS運用代行で揉めやすいのは、単に「著作権は誰のものか」だけでは済まないからです。
実際には、次のような点が問題になりやすいです。
- 制作した投稿画像を自社サイトに載せてよいのか
- クライアント名やアカウント名を出してよいのか
- ロゴやブランド名を実績として掲載してよいのか
- 契約終了後も掲載を続けてよいのか
- 数値実績や成果を営業資料で使ってよいのか
このように、実績掲載といっても対象は幅広く、当事者の認識がズレやすいのが実務上の特徴です。
受注者側としては「営業のために実績を載せたい」と考えやすい一方、
発注者側としては「そこまで公開されるとは思っていなかった」と感じることも少なくありません。
だからこそ、実績掲載の可否は契約の段階で明確にしておくことが大切です。
実績掲載は勝手にできるのか?
結論からいうと、勝手にできるとは考えない方が安全です。
制作物を自社サイトやSNS、営業資料などに掲載する行為は、単なる紹介ではなく、
著作物の利用にあたる可能性があります。
また、インターネット上に掲載する場合には、オンラインで公開すること自体が法的な意味を持つため、
契約で認められた範囲を超えて利用すると問題になることがあります。
たとえば、契約書に「クライアントのSNSアカウントで投稿すること」は書かれていても、
「受注者がその制作物を自社サイトで実績紹介として使うこと」までは定められていないことがあります。
この場合、実績掲載が当然に許されるとは言い切れません。
そのため、受注者側としては「作ったものだから自由に載せてよい」と考えないこと、
発注者側としては「載せてほしくないなら最初に契約で決めておくこと」が重要です。
未公表案件は特に注意が必要
SNS運用代行では、公開前のバナー、投稿前の画像、ローンチ前のキャンペーン告知など、
まだ外に出ていない素材を扱うこともあります。
このような未公表の制作物については、特に慎重な対応が必要です。
受注者側としては「せっかく作ったから実績として早く見せたい」と思うかもしれませんが、
クライアントの承諾なく先に公開してしまうと、信頼関係を大きく損なうおそれがあります。
また、公開前の情報には、マーケティング施策や新商品情報など、
機密性の高い内容が含まれていることもあります。
実績掲載の問題は著作権だけでなく、秘密保持の問題とも密接に関わるため、
公開前の案件については特に慎重に扱うべきです。
クレジット表記や加工にも注意
実績掲載で見落とされやすいのが、クレジット表記と掲載時の加工です。
たとえば、次のようなケースです。
- 制作者名を載せるのか載せないのか
- クライアント名を実名で出すのか匿名にするのか
- 投稿画像をトリミングして載せてよいのか
- 一部だけ切り取って営業資料に使ってよいのか
- 実績紹介用に文章やデザインを少し変えてよいのか
これらは、単に「実績掲載OK」とだけ書いていても解決しないことがあります。
特に、掲載しやすいように一部を加工したり、説明文を付け加えたりする場合には、
相手方が「そんな形で使うとは思っていなかった」と感じることがあります。
そのため、実績掲載の可否だけでなく、掲載時にどこまで加工できるのかまで決めておくと、
後のトラブルを防ぎやすくなります。
契約書で決めておきたいポイント
SNS運用代行契約書では、実績掲載について少なくとも次の点を明確にしておくのがおすすめです。
1. 実績掲載を認めるかどうか
まず大前提として、実績掲載自体を認めるのか、それとも認めないのかを明確にします。
ここが曖昧だと、「当然に載せてよいと思っていた」「勝手に載せないでほしかった」
というズレが起きやすくなります。
2. 何を掲載してよいのか
実績掲載の対象を具体的に定めます。
たとえば、クライアント名、ロゴ、アカウント名、投稿画像、動画、数値実績、
感想コメント、画面キャプチャなど、掲載可能な範囲を細かく整理しておくと安心です。
3. どこに掲載してよいのか
掲載先も重要です。
自社ホームページだけなのか、自社SNSも含むのか、営業資料や提案書まで使えるのかによって、
相手方の受け止め方は大きく変わります。
4. いつまで掲載してよいのか
契約期間中だけなのか、契約終了後も継続して掲載してよいのかを決めておくと、
解約後のトラブル防止につながります。
削除依頼があった場合の対応も決めておくとより安心です。
5. 匿名化やクレジット表記のルール
実名で掲載するのか、匿名で掲載するのか、社名やアカウント名は伏せるのかなども決めておきたいポイントです。
あわせて、制作者名の表示が必要かどうかも整理しておくとよいでしょう。
6. 掲載時の加工の可否
トリミング、ぼかし、サイズ変更、文言の一部修正など、
掲載のための加工を認めるのかどうかも決めておくと実務上使いやすくなります。
7. 秘密保持との関係
実績掲載を認める場合でも、非公開情報まで自由に出してよいわけではありません。
未公開キャンペーン情報や社内資料、数値データなど、
秘密保持の対象になるものは別途整理しておく必要があります。
発注者側の注意点
発注者側としては、「実績掲載はすべてNGなのか、一部ならOKなのか」を最初に整理しておくことが大切です。
特に注意したいのは、次のような点です。
- 社名やロゴを出されたくない
- アカウント名を公開されたくない
- 運用実績の数値を外に出されたくない
- 契約終了後は掲載をやめてほしい
- 公開前の施策は絶対に伏せたい
これらを契約で明確にしておけば、「言った・言わない」のトラブルをかなり減らせます。
完全に禁止する方法もありますし、「事前承諾がある場合のみ可」「匿名化すれば可」
といった形で調整することもできます。
大切なのは、相手に任せきりにせず、自社に合ったルールを明文化しておくことです。
受注者側の注意点
受注者側としては、「自分が制作したものだから自由に使える」と考えないことが大切です。
実績掲載は営業上とても重要ですが、だからこそ契約書にきちんと書いておく方が、
後々の信頼関係にもプラスになります。
たとえば、
- どの制作物を掲載できるのか
- どの媒体で使えるのか
- 匿名化が必要か
- 契約終了後も掲載できるのか
- 削除要請があった場合はどうするのか
といった点を整理しておけば、営業活動もしやすくなりますし、クライアントとの認識のズレも減らせます。
「実績掲載したい」と言いづらいから契約書に書かない、ではなく、
むしろ重要なことだからこそ最初に話し合っておくのが実務的です。
まとめ
SNS運用代行の実績掲載は、単に「著作権は誰のものか」だけで決まるものではありません。
実際には、
- 制作物の利用範囲
- 未公表案件の扱い
- クレジット表記
- 掲載時の加工
- 契約終了後の掲載継続
- 秘密保持
など、さまざまな要素が関わってきます。
そのため、「実績掲載OK」とひと言で済ませるのではなく、
何を、どこに、いつまで、どの形で載せてよいのかを契約書で具体的に定めておくことが大切です。
発注者・受注者の双方が安心して取引を進めるためにも、
実績掲載のルールは最初にきちんと整理しておくことをおすすめします。
お気軽にお問い合わせください
SNS運用代行契約書の作成・チェックをご希望の方は、お気軽にご相談ください。
著作権条項だけでなく、実績掲載、著作者人格権、解約時の扱い、データ引継ぎまで含めて、
実務に合った形で整えることが大切です。


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