イラスト、音楽、動画、キャラクター、Webコンテンツ、SNS企画などを、
複数人で共同制作することがあります。
たとえば、
- イラストレーターとデザイナーが一緒に作品を作る
- 作詞家と作曲家が楽曲を作る
- 動画編集者と撮影者が映像作品を作る
- 企業とクリエイターが共同でキャラクターを作る
- 複数人でSNSキャンペーン用のコンテンツを作る
- 同人活動や創作活動で作品を共同制作する
といったケースです。
共同制作は、最初は信頼関係のある相手同士で始まることが多いため、
細かい契約内容を決めないまま進んでしまうことがあります。
しかし、作品が完成した後や収益が発生した後に、
- 作品の著作権は誰にあるのか
- 一人だけで作品を使ってよいのか
- 売上や収益をどう分けるのか
- グッズ化してよいのか
- SNSや広告に使ってよいのか
- 途中で抜けた人の権利はどうなるのか
- 実績として掲載してよいのか
といった点でトラブルになることがあります。
この記事では、共同制作した作品の著作権や、
クリエイター同士で決めておきたい契約書のポイントについてわかりやすく解説します。
共同制作した作品は誰のものになる?
共同制作した作品は、誰か一人だけのものになるとは限りません。
複数人が創作に関わった場合、それぞれの関与の内容によって、著作権の帰属が問題になります。
たとえば、イラスト作品を作る場合でも、
- 企画を考えた人
- ラフ案を描いた人
- 線画を描いた人
- 着色した人
- デザインを整えた人
- 文字やロゴを入れた人
- 販売ページを作った人
など、複数人が関わることがあります。
しかし、関わった人全員が当然に著作者になるわけではありません。
単にアイデアを出しただけなのか、実際に創作的な表現を作ったのかによって、著作権の考え方は変わります。
そのため、共同制作を始める前に、誰がどの部分を担当し、
完成した作品の権利をどう扱うのかを整理しておくことが大切です。
「共同著作物」になる場合とは?
複数人で作品を作った場合、その作品が「共同著作物」と考えられる場合があります。
共同著作物とは、複数人が共同して創作した著作物で、
それぞれの寄与を分けて利用することが難しいものをいいます。
たとえば、複数人で一体となったイラストや動画、文章、音楽などを作り、
それぞれの担当部分を切り離して利用することが難しい場合には、
共同著作物として問題になることがあります。
一方で、複数人が関わっていても、それぞれの担当部分が明確に分かれている場合は、
共同著作物とは別の整理になることもあります。
たとえば、
- 作詞と作曲
- イラストと文章
- 映像とBGM
- 写真とデザイン
- キャラクター原案とロゴデザイン
のように、各部分を分けて利用できる場合です。
このような場合は、誰がどの部分の著作権を持つのか、
作品全体としてどう利用するのかを契約書で整理しておくことが大切です。
アイデアを出しただけでも著作権者になる?
共同制作では、
「自分もアイデアを出したのだから権利があるはず」
という認識のズレが起こることがあります。
しかし、著作権は、アイデアそのものではなく、具体的な表現を保護するものです。
たとえば、
- こういうキャラクターにしたい
- こういう雰囲気の楽曲にしたい
- こういう動画企画にしたい
- このテーマでイラストを描いてほしい
- こういう世界観にしたい
といったアイデアや方向性を出しただけでは、直ちに著作権者になるとは限りません。
一方で、具体的なセリフ、文章、メロディ、デザイン、構図、
キャラクター表現などを創作した場合には、著作権が問題になることがあります。
共同制作では、アイデア提供、企画、ディレクション、実際の制作作業を分けて考えることが重要です。
収益配分を決めておかないと揉めやすい
共同制作で特にトラブルになりやすいのが、収益配分です。
最初は趣味や試験的な企画として始めた作品でも、後から収益が発生することがあります。
たとえば、
- グッズ販売
- イラスト販売
- 楽曲配信
- 動画広告収益
- SNS案件
- ライセンス料
- 商品化
- 有料コンテンツ販売
- イベント販売
- NFTやデジタルコンテンツ販売
などです。
収益が発生してから配分を決めようとすると、
「自分の貢献度の方が高い」
「売上の半分をもらえると思っていた」
「販売作業をした人の取り分を増やすべき」
など、認識の違いが出やすくなります。
そのため、共同制作を始める前に、
- 売上をどの割合で分けるのか
- 経費を差し引いた後に分配するのか
- 振込手数料や販売手数料を誰が負担するのか
- 販売管理を誰が行うのか
- 支払い時期をどうするのか
- 売上報告をどう行うのか
を決めておくことが大切です。
一人だけで作品を使ってよいのか
共同制作した作品について、一部のメンバーが自分だけで使いたいと考えることがあります。
たとえば、
- 自分のSNSに掲載する
- ポートフォリオに載せる
- 自分の商品に使う
- 別の案件の実績として使う
- 広告に使う
- 別作品に流用する
- 自分のYouTubeや配信で使う
といったケースです。
しかし、共同制作した作品について、一人だけが自由に使えるとは限りません。
特に、共同著作物や共有の著作権が問題になる場合、
作品の利用には他の共同制作者の同意が必要になることがあります。
そのため、契約書では、
- 各メンバーが個別に作品を使えるか
- SNS掲載は自由にできるか
- 商用利用には全員の同意が必要か
- ポートフォリオ掲載は認めるか
- 別作品への流用を認めるか
- 広告利用を認めるか
を明確にしておくことが大切です。
二次利用・グッズ化・商用利用のルール
共同制作では、完成した作品を別の形で利用したくなることがあります。
たとえば、
- Tシャツにする
- アクリルキーホルダーにする
- LINEスタンプにする
- キャラクターグッズにする
- YouTube動画に使う
- 広告に使う
- 展示会で販売する
- 有料素材として販売する
- 別サービスのロゴやアイコンに使う
- NFTやデジタルコンテンツとして販売する
このような二次利用や商用利用について、事前にルールを決めておかないと、
後からトラブルになりやすいです。
特に、グッズ化や商品化は収益が発生しやすいため、
誰が判断し、誰が販売し、売上をどう分けるのかを決めておく必要があります。
契約書では、次のような点を定めておくと安心です。
- 二次利用を認めるか
- グッズ化を認めるか
- 商用利用には全員の同意が必要か
- 売上や利益をどう分配するか
- 販売管理を誰が行うか
- 商品化の範囲をどうするか
- 外部企業へのライセンスを認めるか
- 利用期間をどうするか
共同制作では、作品完成後の利用方法まで想定しておくことが重要です。
クレジット表記をどうするか
共同制作では、作品に関わった人の名前をどのように表示するかも重要です。
たとえば、
- イラスト:〇〇
- デザイン:〇〇
- 作詞:〇〇
- 作曲:〇〇
- 動画編集:〇〇
- 撮影:〇〇
- 企画:〇〇
- 制作協力:〇〇
といった形です。
クレジット表記を決めていないと、
- 自分の名前が掲載されていない
- 役割が実際と違う
- 匿名で参加したかった
- 会社名ではなく個人名を出された
- SNSアカウント名を出されたくない
といったトラブルにつながることがあります。
契約書では、
- クレジット表記をするか
- 表記する名前は何か
- 個人名か屋号か
- SNSアカウントを掲載するか
- 匿名参加を認めるか
- 表記順をどうするか
- 商用利用時も表記するか
を決めておくと安心です。
途中でメンバーが抜けた場合の扱い
共同制作では、途中でメンバーが抜けることがあります。
たとえば、
- 忙しくなって参加できなくなった
- 方向性が合わなくなった
- 連絡が取れなくなった
- 報酬や収益配分で意見が合わない
- 活動を終了した
- 企業案件として継続できなくなった
といったケースです。
このとき、途中で抜けたメンバーがすでに創作した部分を使い続けられるのか、
完成後の収益を受け取れるのかが問題になります。
契約書では、次の点を決めておくと安心です。
- 途中離脱した場合の権利の扱い
- 既に制作した部分を使い続けられるか
- 離脱後の収益配分をどうするか
- クレジット表記を残すか
- 未完成部分を他の人が引き継げるか
- 連絡不能になった場合の対応
- 作品公開を中止できるか
共同制作では、良い関係のときほど、途中離脱時のルールを決めておくことが大切です。
実績掲載・ポートフォリオ利用の可否
共同制作した作品について、各メンバーが自分の実績として掲載したいと考えることがあります。
たとえば、
- 自分のホームページに掲載する
- SNSで制作実績として紹介する
- ポートフォリオに掲載する
- 営業資料に使う
- 制作過程を紹介する
- ビフォーアフターを掲載する
実績掲載は、クリエイターにとって営業活動のために重要です。
一方で、
- 公開前に掲載されたくない
- 他のメンバー名を出されたくない
- 企業案件なので掲載できない
- 秘密情報が含まれている
- 収益化前に内容を公開されたくない
- 一部だけ切り取って掲載されたくない
といった事情があることもあります。
そのため、契約書では、
- 実績掲載を認めるか
- 掲載前に承諾が必要か
- どの媒体に掲載できるか
- 作品画像を掲載できるか
- 制作過程を公開できるか
- 企業名やメンバー名を出せるか
- 公開前の掲載を禁止するか
- 削除依頼があった場合の対応
を明確にしておくと安心です。
実績掲載については、こちらの記事でも解説しています。
SNS運用代行の実績掲載はどこまでOK?ポートフォリオ利用・事例紹介で揉めないためのポイント
共同制作と業務委託の違いにも注意
共同制作と業務委託は、似ているようで違います。
業務委託では、発注者が外注先に業務を依頼し、外注先が成果物を納品する形が多いです。
一方、共同制作では、複数人がそれぞれの役割を持って、一緒に作品を作る形になります。
たとえば、
- 企業がデザイナーにロゴ制作を依頼する
- カメラマンに商品写真を依頼する
- 動画編集者に編集を依頼する
といった場合は、業務委託契約として整理されることが多いです。
一方で、
- 複数人でキャラクター企画を立ち上げる
- 作詞家と作曲家が共同で楽曲を作る
- イラストレーターとシナリオライターが共同で作品を販売する
といった場合は、共同制作契約として整理した方がよいことがあります。
業務委託契約書に著作権条項がない場合の注意点については、こちらの記事でも解説しています。
業務委託契約書に著作権条項がないとどうなる?外注トラブルを防ぐ確認ポイント
共同制作契約書で決めておきたい項目
共同制作を行う場合、契約書では次のような項目を決めておくと安心です。
- 制作する作品の内容
- 各メンバーの役割
- 制作スケジュール
- 著作権の帰属
- 作品の利用範囲
- 収益配分
- 費用負担
- 二次利用の可否
- グッズ化の可否
- 商用利用の可否
- 外部企業へのライセンスの可否
- 実績掲載の可否
- クレジット表記
- メンバー離脱時の扱い
- 連絡不能時の対応
- 契約終了後の利用
- 秘密保持
- トラブル時の協議方法
- 禁止事項
- 損害賠償
- 反社会的勢力の排除
共同制作では、すべての項目を細かく決めるのは大変に感じるかもしれません。
しかし、少なくとも、著作権、利用範囲、収益配分、二次利用、実績掲載、
メンバー離脱時の扱いは、事前に整理しておくことをおすすめします。
口約束だけで進めるリスク
共同制作は、友人同士や知人同士で始まることも多いため、口約束だけで進めてしまうことがあります。
たとえば、
- 売れたら半分にしよう
- 自由に使っていいよ
- あとで相談しよう
- ひとまず公開してから決めよう
- グッズ化できそうなら考えよう
といった形です。
しかし、口約束だけでは、後から内容を確認しにくくなります。
特に、作品が売れたり、企業案件につながったり、SNSで注目されたりすると、
最初の認識の違いが表面化しやすくなります。
共同制作では、信頼関係があるからこそ、最初にルールを決めておくことが大切です。
契約書を作ることは、相手を疑うためではなく、安心して制作を続けるためのものです。
まとめ
共同制作した作品の著作権は、誰か一人だけのものになるとは限りません。
複数人が創作に関わる場合、誰がどの部分を作ったのか、作品全体をどう利用するのか、
収益をどう分けるのかを整理しておくことが大切です。
特に、次の点はトラブルになりやすい部分です。
- 作品の著作権は誰にあるのか
- 共同著作物になるのか
- 一人だけで作品を使えるのか
- 収益配分をどうするのか
- 二次利用やグッズ化を認めるのか
- 実績掲載してよいのか
- クレジット表記をどうするのか
- 途中でメンバーが抜けた場合どうするのか
- 契約終了後も作品を使えるのか
共同制作は、良い作品を生み出せる一方で、権利関係があいまいなままだと、
後から大きなトラブルになることがあります。
作品を安心して公開・販売・展開していくためにも、制作を始める段階で、
契約書や合意書によってルールを明確にしておくことをおすすめします。
著作権・共同制作契約書のご相談は行政書士中村拓哉事務所へ
共同制作では、作品が完成してから権利関係を整理しようとすると、
著作権の帰属、収益配分、二次利用、実績掲載などでトラブルになることがあります。
行政書士中村拓哉事務所では、共同制作契約書、著作権契約書、
クリエイター同士の権利整理に関するご相談を承っております。
- 共同制作契約書を作成したい
- クリエイター同士で権利関係を整理したい
- 収益配分や費用負担を決めておきたい
- 二次利用やグッズ化のルールを作りたい
- 実績掲載やクレジット表記を整理したい
- 途中でメンバーが抜けた場合の扱いを決めたい
- 口約束のまま進んでいる共同制作を契約書にしたい
- テンプレート契約書を自分たちの企画に合わせて修正したい
このようなお悩みがある方は、お気軽にご相談ください。
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