未管理著作物裁定制度とは?著作権者が不明な作品を使う方法をわかりやすく解説

目次

「使いたいけれど、誰に許可を取ればいいのか分からない」

古い写真や資料、昔の雑誌、インターネット上で見つけた作品などを見て、

これを使いたいけれど、著作権者が分からない

と困ったことはないでしょうか。

著作物は、原則として著作権者の許可なく使うことはできません。

しかし現実には、著作権者が分からなかったり、連絡が取れなかったりして、許可を得たくても得られないケースがあります。

そうした場合に利用が検討されるのが、未管理著作物裁定制度です。

未管理著作物裁定制度とは

未管理著作物裁定制度とは、簡単にいうと、

著作権者の意思が確認できない作品について、一定の手続きを経たうえで、適法に利用できるようにする制度
です。

「著作権者が分からないなら自由に使ってよい」という制度ではありません。

あくまで、きちんと確認や申請をしたうえで、例外的に利用を認めてもらう仕組みです。

そのため、無断利用を後から正当化するための制度ではなく、

違法にならないように正式な手順を踏んで利用する制度

と考えると分かりやすいです。

なぜこの制度が必要なのか

世の中には、利用したいのに権利関係がはっきりしない作品が少なくありません。

たとえば、

  • 昔の地域写真をパンフレットに使いたい
  • 古い資料をホームページで紹介したい
  • 権利者不明の作品を展示やアーカイブで活用したい

といった場面です。

こうした作品は、著作権者が見つからないからといって自由に使えるわけではありません。

ただ、そのままだと誰にも活用されず、文化的にも社会的にももったいない場合があります。

そこで、一定の条件を満たせば利用できるようにしたのが、この制度です。

どんな作品でも対象になるわけではない

ここで注意したいのは、

「著作権者がよく分からない作品なら何でも対象になるわけではない

という点です。

対象になるのは、ざっくりいうと、

  • すでに公表されている作品であること
  • 著作権管理事業者によって管理されていないこと
  • 利用してよいかどうかについて、著作権者の意思表示が確認できないこと

などの条件を満たすものです。

逆に、著作権者のホームページやSNSなどに

利用したい場合はここに連絡してください

と書かれている場合は、通常どおりその著作権者に連絡すべきであり、

この制度の対象にはなりにくいです。

「著作権者が不明」と「意思が確認できない」は少し違う

似ているようで少し違うのが、著作権者そのものが分からない場合と、

著作権者は分かるけれど、使ってよいかどうかの返事が得られない場合 です。

前者は本当に権利者不明というケースです。

後者は、名前や連絡先らしきものは見つかったが、連絡しても返事がない、

利用条件が書かれていない、というケースです。

未管理著作物裁定制度は、こうした

使いたいのに、相手の意思確認ができない

という場面で意味を持つ制度です。

利用するためには、まず「確認」が必要

この制度を使うために一番大切なのは、

本当に著作権者の意思が確認できないのかを、きちんと調べることです。

たとえば、

  • インターネットで検索する
  • 出版社や関係団体に確認する
  • 管理事業者に委託されていないかを調べる
  • ホームページやSNSに利用条件の記載がないかを見る

といった確認が必要になります。

つまり、「分からない気がする」だけでは足りません。

探したけれど確認できなかったということを、

説明できる状態にしておくことが重要です。

手続きの流れ

大まかな流れは、次のようになります。

まず、その作品が制度の対象になりそうか確認します。

次に、著作権者の意思や連絡先が本当に確認できないか調べます。

そのうえで、必要な申請を行い、認められた場合に補償金を支払うことで、利用が可能になります。

少し簡単に書くと、

対象かどうか確認する → 権利者を調べる → 申請する → 補償金を支払う → 利用する

という流れです。

一見するとシンプルですが、実際には

「どこまで調べたら足りるのか」「その作品が本当に対象か」

の判断が難しいことがあります。

補償金が必要になる

この制度では、利用が認められたとしても、無料で使えるわけではありません。

補償金の支払いが必要になります。

これは、後から著作権者が現れた場合に、その権利者の利益を守るための仕組みです。

つまり、制度としては

  • 利用したい人の便宜
  • 権利者の保護

この両方をバランスよく考えているわけです。

利用期間にも注意が必要

未管理著作物裁定制度は、とにかく一度使えればずっと安心、という制度ではありません。

利用には期間の上限があります。

そのため、長期間ずっと使いたい場合には、最初からその点を見据えて考える必要があります。

短期から中期の利用には向いていても、ずっと継続して使う予定のものについては、

別の制度や通常の許諾手続との比較が必要になることもあります。

著作権者が後から現れたらどうなるのか

この制度を利用している途中で、後から著作権者が現れる可能性もあります。

その場合には、制度に基づく利用が続けられなくなることがあります。

つまり、「とりあえず使えたから今後もずっと大丈夫」ではないということです。

ホームページ掲載、動画配信、販売物への利用など、

使い方によっては後から停止対応が必要になることもあるため、

最初の段階で利用方法をしっかり整理しておくことが大切です。

この制度が向いている場面

未管理著作物裁定制度は、特に次のような場面で検討しやすい制度です。

  • 地域資料や古い写真を活用したい
  • 展示やアーカイブに使いたい
  • 出版や研究、文化事業で利用したい
  • 権利者を探しても利用可否の確認ができない

一方で、通常どおり連絡を取って許可をもらえる相手がいるなら、

まずは普通に許諾を取るのが原則です。

制度は便利ですが、通常の許諾が取れる場合の代わりとして使うものではない

という点は押さえておきたいところです。

実務でよくある誤解

このテーマでは、いくつか誤解が生まれやすいです。

よくあるのは、「著作権者が分からないから自由に使える」という考え方です。

しかし、これは違います。

著作権は、登録していなくても発生します。

誰が権利者か分からないからといって、権利そのものがなくなるわけではありません。

また、

「古い作品だからもう大丈夫だろう」

という思い込みも危険です。

古い作品でも保護期間内であれば著作権は残っています。

つまり、分からないものほど慎重に扱う必要があるということです。

専門家に相談するメリット

未管理著作物裁定制度は、知っているだけでも価値のある制度ですが、

実際に利用しようとすると、

  • 対象かどうかの判断
  • 調査の進め方
  • 記録の残し方
  • 申請内容の整理

といった点で悩みやすいです。

そのため、

「これって制度の対象になるのか」「どこまで調べればよいのか」

という段階から、専門家に相談する意味があります。

特に、事業で使う場合や、公開範囲が広い場合は、最初の判断がとても大切です。

まとめ

未管理著作物裁定制度は、

著作権者の意思が確認できない作品を、一定の手続きを経て適法に利用するための制度です。

便利な制度ではありますが、何も調べずに使える制度ではありません。

  • 本当に対象になるのか
  • 著作権者の意思確認は十分か
  • 利用方法は適切か
  • 後から権利者が現れた場合にどう対応するか

こうした点を踏まえて進めることが大切です。

「使いたい作品があるけれど、許可の取り方が分からない」

「この制度が使えるのか判断に迷う」

という場合は、早めに確認しておくと安心です。

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