業務委託契約書に著作権条項がないとどうなる?外注トラブルを防ぐ確認ポイント

SNS運用代行、デザイン制作、動画編集、ホームページ制作、写真撮影、ライティング、ロゴ制作など、

事業を行っていると外部のクリエイターや制作会社に業務を依頼する場面は多くあります。

そのときに使われる契約書が、業務委託契約書です。

業務内容、報酬、納期、修正回数などは契約書に書かれていても、

意外と見落とされやすいのが、著作権条項です。

著作権条項がないまま外注を進めてしまうと、後から、

  • 納品物を自由に使ってよいのか
  • 契約終了後も使えるのか
  • SNSや広告に転用してよいのか
  • 自社で修正・加工してよいのか
  • 元データをもらえるのか
  • 外注先が実績として掲載してよいのか
  • 他の制作会社に修正を依頼してよいのか

といった点でトラブルになる可能性があります。

この記事では、業務委託契約書に著作権条項がない場合に起こりやすいトラブルと、

外注前に確認しておきたい契約書のポイントをわかりやすく解説します。

目次

業務委託契約書に著作権条項が必要な理由

業務委託契約では、外注先に何らかの成果物を作ってもらうことがあります。

たとえば、次のようなものです。

  • SNS投稿文
  • Instagram画像
  • 広告バナー
  • ロゴ
  • チラシ
  • ホームページ
  • 動画
  • サムネイル
  • 写真
  • 商品画像
  • コラム記事
  • キャッチコピー
  • イラスト
  • 資料デザイン

これらの中には、著作物にあたる可能性があるものが含まれます。

そのため、単に
「納品してください」
「報酬を支払います」
という内容だけでは不十分な場合があります。

納品物について、誰が著作権を持つのか、発注者がどこまで使えるのか、

外注先が実績として使えるのかなどを、契約書で明確にしておくことが大切です。

「報酬を払った=著作権ももらえる」とは限らない

発注者側が特に誤解しやすいのが、報酬を支払えば、納品物の著作権も当然に自分のものになる

という考え方です。

たしかに、発注者はお金を払って制作物を依頼しています。

しかし、報酬を支払ったことと、著作権が移転することは別の問題です。

契約書で著作権譲渡について明確に定めていなければ、著作権が外注先に残る可能性があります。

もちろん、発注者がまったく使えないという意味ではありません。

依頼した目的の範囲では利用できると考えられる場合もあります。

ただし、

  • ホームページだけで使えるのか
  • SNSにも使えるのか
  • 広告にも使えるのか
  • チラシにも使えるのか
  • 契約終了後も使えるのか
  • 別の商品やサービスにも使えるのか
  • 自社で加工して使えるのか

といった具体的な範囲は、契約書で決めておいた方が安心です。

著作権条項がないと起こりやすいトラブル

業務委託契約書に著作権条項がないと、次のようなトラブルが起こりやすくなります。

契約終了後も納品物を使えるか分からない

たとえば、SNS運用代行を依頼していた場合、

契約終了後も過去の投稿画像や投稿文を残してよいのかが問題になることがあります。

発注者側は、
「自社アカウントの投稿だから残してよい」
と考えるかもしれません。

一方で、外注先は、
「契約期間中の利用だけを想定していた」
と考えている場合もあります。

契約終了後も納品物を使えるのか、使える場合はどの範囲までかを契約書で定めておくことが大切です。

SNS運用代行で作った投稿の著作権については、こちらの記事でも解説しています。

SNS運用代行で作った投稿の著作権は誰のもの?実務でよくあるトラブルを解説

SNS・広告・チラシなどに転用してよいか分からない

最初はホームページ用に作った画像でも、後からSNSや広告、チラシに使いたくなることがあります。

たとえば、

  • ホームページ用の写真をチラシに使う
  • SNS投稿用の画像を広告に使う
  • YouTube動画をInstagramリールに使う
  • チラシデザインをホームページに掲載する
  • ロゴを商品パッケージに使う

このような二次利用・転用ができるかどうかは、契約書で明確にしておく必要があります。

契約書に利用範囲が書かれていないと、発注者と外注先の認識がずれる可能性があります。

修正・加工してよいか分からない

納品された制作物は、そのまま使うとは限りません。

実務では、次のような修正や加工をしたくなることがあります。

  • 画像に文字を追加する
  • 写真をトリミングする
  • 動画を短く切り抜く
  • デザインの色を変更する
  • ロゴを白抜きにする
  • コラム記事をリライトする
  • バナーを別サイズに変更する
  • ホームページを別会社に改修してもらう

しかし、契約書で修正・加工の可否が決まっていないと、後から外注先と揉める可能性があります。

特に、著作者人格権との関係で問題になることがあります。

著作者人格権については、こちらの記事でも解説しています。

SNS運用代行契約書で定めたい「著作者人格権」とは?投稿の修正・加工・リライトで揉めないためのポイント

元データをもらえるか分からない

業務委託契約でよく問題になるのが、元データの引き渡しです。

たとえば、

  • IllustratorのAIデータ
  • PhotoshopのPSDデータ
  • Canvaデータ
  • Figmaデータ
  • Premiere Proの編集データ
  • RAW写真データ
  • WordPressのバックアップデータ
  • 高解像度画像データ

などです。

発注者側は、
「納品してもらったのだから、元データも当然もらえる」
と考えることがあります。

しかし、実務上は、完成データと元データは別扱いになっていることも多いです。

契約書に納品物の範囲が書かれていないと、
「完成データは渡したが、編集データは渡さない」
「元データは別料金」
というトラブルになることがあります。

そのため、契約書では、納品物の内容と形式を具体的に定めておくことが大切です。

外注先が実績掲載してよいか揉める

外注先は、制作した実績を自社サイトやSNS、ポートフォリオに掲載したいと考えることがあります。

たとえば、

  • 制作実績としてロゴを掲載する
  • SNS運用事例として投稿画像を紹介する
  • ホームページ制作事例としてURLを掲載する
  • 動画編集実績として動画の一部を載せる
  • 写真撮影実績として撮影写真を掲載する

外注先にとって、実績掲載は営業活動のために重要です。

一方で、発注者側としては、

  • 公開前の情報を出してほしくない
  • 会社名を出してほしくない
  • 顧客名や案件内容を出してほしくない
  • 成果数値を掲載してほしくない
  • 顔写真や店舗写真を勝手に載せてほしくない

と考えることもあります。

この点を契約書で決めていないと、
「実績として載せてよいと思っていた」
「勝手に掲載されるとは思わなかった」
というトラブルにつながる可能性があります。

実績掲載については、こちらの記事でも解説しています。

SNS運用代行の実績掲載はどこまでOK?ポートフォリオ利用・事例紹介で揉めないためのポイント

著作権譲渡と利用許諾の違い

業務委託契約書の著作権条項では、主に次の2つの考え方があります。

  • 著作権譲渡
  • 利用許諾

著作権譲渡とは

著作権譲渡とは、外注先が持っている著作権を発注者に移すことです。

発注者側としては、納品物を自由に使いやすくなるというメリットがあります。

たとえば、

  • ロゴを長期間使う
  • デザインを広告やチラシに転用する
  • 動画を複数媒体で使う
  • 写真を商品ページや広告で使い続ける
  • ホームページを別会社に改修してもらう

といった場合、著作権譲渡を検討することがあります。

ただし、著作権譲渡にする場合でも、どの権利を、

どの範囲で譲渡するのかを契約書で明確にしておく必要があります。

利用許諾とは

利用許諾とは、著作権は外注先に残したまま、発注者に一定の範囲で利用を認める形です。

たとえば、

  • 発注者のホームページで利用できる
  • 発注者のSNSで利用できる
  • 契約期間中は利用できる
  • 広告利用は別途協議する
  • 改変には事前承諾が必要

といった形です。

利用許諾の場合は、利用できる媒体、期間、目的、地域、加工の可否などを具体的に書くことが重要です。

著作権譲渡と利用許諾の違いについては、こちらの記事でも解説しています。

SNS運用代行契約書で定めたい「著作権譲渡」と「利用許諾」の違いとは?

著作者人格権の不行使条項も確認する

著作権条項を確認するときは、著作者人格権についても見ておきたいところです。

著作者人格権は、著作者の人格的利益を守るための権利です。

著作権は譲渡できますが、著作者人格権そのものは譲渡できません。

そのため、発注者が納品物を修正・加工・リライト・再編集して使う可能性がある場合には、

契約書で著作者人格権を行使しない旨を定めることがあります。

たとえば、

  • 投稿文をリライトする
  • 画像を加工する
  • 動画を切り抜く
  • ロゴの色を変える
  • 写真をトリミングする
  • ホームページを別会社に改修してもらう

といった利用を予定している場合には、著作者人格権の不行使条項を確認しておくと安心です。

ただし、外注先としては、制作物が大きく改変されることを避けたい場合もあります。

そのため、どの範囲の修正・加工を認めるのかを、契約書で整理しておくことが大切です。

外注内容ごとに確認すべきポイント

業務委託契約書の著作権条項は、外注する内容によって確認すべきポイントが変わります。

SNS運用代行の場合

SNS運用代行では、投稿文、画像、動画、リール、広告クリエイティブなどが制作されることがあります。

確認したいポイントは次のとおりです。

  • 投稿文や画像の著作権は誰にあるか
  • 契約終了後も投稿を残せるか
  • 広告やホームページに転用できるか
  • 実績掲載を認めるか
  • 著作者人格権の不行使を定めるか

SNS運用代行契約書のチェックポイントについては、こちらの記事でも解説しています。

SNS運用代行契約書をチェックするときに見るべき著作権条項とは?発注者・代行業者が確認したいポイント

デザイン制作の場合

デザイン制作では、ロゴ、バナー、チラシ、パンフレット、SNS画像などが対象になります。

確認したいポイントは次のとおりです。

  • 著作権譲渡か利用許諾か
  • 広告やSNSに転用できるか
  • 元データをもらえるか
  • 色変更や加工ができるか
  • 外部素材やフォントの利用条件は問題ないか

デザイン制作を外注したときの著作権は誰のもの?ロゴ・バナー・チラシ制作で確認したい契約書のポイント

動画編集の場合

動画編集では、完成動画だけでなく、BGM、効果音、テロップ、サムネイル、編集データなども問題になります。

確認したいポイントは次のとおりです。

  • 完成動画の著作権は誰にあるか
  • YouTube以外のSNSにも使えるか
  • 広告利用できるか
  • BGMや効果音のライセンスは問題ないか
  • 編集データをもらえるか
  • 切り抜き動画に再利用できるか

動画編集を外注したときの著作権は誰のもの?YouTube・SNS動画の契約書で確認したいポイント

ホームページ制作の場合

ホームページ制作では、文章、写真、デザイン、コード、WordPressテーマ、プラグインなど、

複数の権利関係が絡みます。

確認したいポイントは次のとおりです。

  • 文章やデザインの著作権は誰にあるか
  • 別の制作会社に改修を依頼できるか
  • サーバーやドメインの管理権限はどうなるか
  • テーマやプラグインのライセンスは誰が管理するか
  • 保守契約終了後も使えるか

ホームページ制作を依頼した場合の著作権は誰にある?文章・写真・デザイン・コードの扱いを解説

ロゴ制作の場合

ロゴ制作では、著作権だけでなく、商標登録を見据えた確認も重要です。

確認したいポイントは次のとおりです。

  • ロゴの著作権は発注者に移るか
  • 商標登録を予定しているか
  • 元データをもらえるか
  • 色変更や加工ができるか
  • 外部素材やフォントを使っていないか
  • 実績掲載を認めるか

ロゴ制作を依頼したら自由に使える?著作権・商標・契約書で確認したいポイント

写真撮影の場合

写真撮影では、写真の著作権、利用範囲、加工、撮影データ、肖像権、実績掲載などが問題になります。

確認したいポイントは次のとおりです。

  • 写真の著作権は誰にあるか
  • ホームページ・SNS・広告で使えるか
  • トリミングや加工ができるか
  • RAWデータをもらえるか
  • 人物の掲載許諾は取れているか
  • カメラマンが実績掲載できるか


写真撮影を依頼したときの著作権は誰のもの?プロフィール写真・商品写真・店舗写真の契約書で確認したいポイント

業務委託契約書で確認したい著作権条項チェックリスト

外注制作物に関する業務委託契約書では、少なくとも次の点を確認しておきましょう。

  • 著作権の帰属
  • 著作権譲渡か利用許諾か
  • 利用できる媒体
  • 利用できる期間
  • 商用利用の可否
  • 広告利用の可否
  • 二次利用の可否
  • 修正・加工・改変の可否
  • 著作者人格権の不行使
  • 実績掲載の可否
  • 元データの引き渡し
  • 外部素材やフォントの利用条件
  • 第三者への提供の可否
  • 再委託の可否
  • 契約終了後の取り扱い
  • 秘密保持
  • 損害賠償
  • 協議事項

これらをすべて一律に入れればよいわけではありません。

大切なのは、実際の外注内容に合わせて、必要な条項を整理することです。

テンプレート契約書をそのまま使う場合の注意点

インターネット上には、業務委託契約書のテンプレートが多くあります。

テンプレート自体が悪いわけではありません。

ただし、テンプレート契約書をそのまま使うと、自社の取引内容に合っていないことがあります。

たとえば、

  • 著作権条項が入っていない
  • 利用範囲があいまい
  • 著作権譲渡の範囲が広すぎる
  • 著作者人格権の不行使条項がない
  • 元データの引き渡しが書かれていない
  • 実績掲載の可否が決まっていない
  • 外部素材の責任分担がない
  • 契約終了後の扱いが不明確

といったケースです。

特に、制作物が発生する業務委託契約では、著作権条項を入れるかどうかで、

後のトラブルを防げる可能性があります。

テンプレート契約書を使う場合でも、著作権条項だけは慎重に確認することをおすすめします。

まとめ

業務委託契約書に著作権条項がない場合、納品物をめぐって後からトラブルになる可能性があります。

特に、次の点は契約書で明確にしておくことが大切です。

  • 納品物の著作権は誰に帰属するのか
  • 著作権譲渡か利用許諾か
  • どの媒体で利用できるのか
  • 契約終了後も使えるのか
  • 修正・加工してよいのか
  • 元データを受け取れるのか
  • 外注先が実績掲載してよいのか
  • 著作者人格権の不行使を定めるのか
  • 外部素材やフォントの利用条件は問題ないか

外注制作では、発注者側も外注先側も、
「なんとなく大丈夫だろう」
という認識で進めてしまうと、後から大きなトラブルになることがあります。

SNS運用代行、デザイン制作、動画編集、ホームページ制作、ロゴ制作、写真撮影など、

制作物が発生する業務委託では、契約書の著作権条項をしっかり確認しておくことが重要です。

著作権・契約書のご相談は行政書士中村拓哉事務所へ

業務委託契約書に著作権条項がない場合、納品物の利用範囲、契約終了後の使用、

修正・加工、実績掲載、元データの引き渡しなどでトラブルになる可能性があります。

行政書士中村拓哉事務所では、業務委託契約書、著作権条項、

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  • 業務委託契約書を作成したい
  • 外注先との契約書をチェックしてほしい
  • 著作権条項を追加したい
  • 納品物の利用範囲を整理したい
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  • 元データの引き渡し条項を入れたい
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このようなお悩みがある方は、お気軽にご相談ください。

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