JASRACに申請すればXに歌ってみた動画を載せて大丈夫?市販音源・著作隣接権・編曲の注意点を解説

2026年4月、Xに「歌ってみた」「弾いてみた」動画を投稿する際の著作権ルールが話題になりました。

背景にあるのは、Xは現時点でJASRACと利用許諾契約を締結しているUGCサービス一覧に入っておらず、

JASRAC管理楽曲を投稿する場合は投稿者による個別申請が必要と整理されている点です。

YouTube、Instagram、TikTokなどと同じ感覚で考えると、思わぬ見落としにつながる可能性があります。 

前回の記事では、「Xに歌ってみた動画を投稿すると違法なのか」という入口の疑問を整理しました。

今回はその続きとして、JASRACに申請すればそれで全部解決するのか

そして市販音源・著作隣接権・編曲まで含めて、どこに注意が必要なのかをわかりやすく解説します。 

目次

JASRACに申請すれば、ひとまずXに載せてよいのか

まず結論からいうと、JASRACへの申請は大事ですが、それだけで必ず安心とは言い切れません。 

JASRACの非商用配信の案内では、個人や非営利団体などが、情報料や広告料等収入がなく、

営利を目的としない配信を行う場合の手続が案内されています。

一方で、広告料等収入がある場合や営利法人などは、別途「商用配信」の確認が必要とされています。

つまり、同じ「歌ってみた」でも、利用の仕方によって前提が変わります。 

また、JASRACの動画配信に関する案内では、動画配信でJASRAC管理楽曲を利用する場合は、

ビデオグラム録音の手続きとインタラクティブ配信の手続きが必要とされています。

単に「音楽を使う」だけではなく、動画として制作し、ネットで配信する行為まで含めて考える必要があるため、

思っているより確認事項は多めです。 

まず確認したいのは、その曲がJASRAC管理楽曲かどうか

Xに投稿する前に最初に確認したいのは、使いたい曲がそもそもJASRAC管理楽曲なのかという点です。

JASRACは、作品検索データベース「J-WID」で権利関係を確認するよう案内しています。

JASRAC管理楽曲でなければ、JASRACへの申請だけでは足りず、

別の権利者や管理団体の確認が必要になることがあります。 

ここは意外と見落とされがちです。話題になっているのは「JASRACに申請が必要」という部分ですが、

正確には、JASRACが管理している範囲についてJASRACへの手続が必要という話です。

楽曲ごとの権利関係を確認せずに進めるのは避けた方が安全です。 

市販CDやダウンロード音源を使うなら、JASRACだけでは足りない

ここが特に重要です。JASRACの案内では、市販のCDやダウンロードした音源を利用する場合、

著作権とは別に著作隣接権の許諾が必要と明記されています。

具体的には、レコード会社などの音源製作者や、実演家の権利が別に問題になるためです。 

つまり、たとえば原曲のカラオケ音源、市販配信されている伴奏、

CD音源そのものなどを使って歌ってみた動画を作る場合、JASRACに申請したから終わりとは限りません。

JASRACは著作権の一部を管理していますが、

音源自体に関する権利まで一括で処理してくれるわけではないからです。 

逆に、自分で演奏したり、自分で制作した伴奏を使ったりする場合は、

少なくとも「市販音源をそのまま使う場合」とは論点が変わってきます。

それでもJASRAC管理楽曲であれば、著作権の確認は必要です。 

著作隣接権とは何か

著作隣接権は、ざっくりいうと曲を作った人の権利とは別に、

実際に音源を制作した人や演奏・歌唱した人に認められる権利です。

JASRACの案内でも、市販CDやダウンロード音源を使う場合には、

著作権とは別に著作隣接権の許諾が必要だと整理されています。 

歌ってみた動画の文脈でいうと、「曲そのものの利用」「その音源そのものの利用」は、同じではありません。

この違いを知らないまま進めると、「JASRACには申請したのに、なぜまだ問題があるのか」

がわかりにくくなります。今回の話題で特に誤解されやすいのは、この点です。 

編曲・キー変更・替え歌も別の注意が必要

もう一つ大切なのが、編曲や訳詞、替え歌はJASRACが管理していないという点です。

JASRACの非商用配信・商用配信の案内では、編曲や訳詞、替え歌をする場合は、JASRACではなく、

作詞者・作曲者・音楽出版社などの権利者に連絡するよう案内されています。 

そのため、「メロディを少し変えた」「自分なりのアレンジを入れた」「歌詞を変えた」

といったケースでは、JASRACへの申請だけで十分とは言えないことがあります。

特に、替え歌や大きなアレンジは、投稿者が思っている以上に別の権利問題を含みやすいので注意が必要です。 

YouTubeやInstagramと同じ感覚で考えない方がよい理由

JASRACは、利用許諾契約を締結しているUGCサービスでは、

一般ユーザーが個別にJASRACへ手続をしなくても、

一定範囲でJASRAC管理楽曲を利用したUGCをアップロードできると案内しています。

YouTubeなどについては、動画投稿者は一定の範囲内であれば手続不要とされています。 

一方で、Xはその契約済みサービス一覧に入っていません。

だからこそ、YouTubeでは問題なく見える行為が、Xではそのまま通用しないというズレが起きます。

今回の話題は、この違いが広く知られていなかったために一気に注目された面があります。 

では、どういう順番で確認すればいいのか

Xに歌ってみた動画を投稿したい場合は、次の順番で考えると整理しやすいです。

1. その曲がJASRAC管理楽曲か確認する

JASRACはJ-WIDでの確認を案内しています。まずここが出発点です。 

2. 投稿先サービスがJASRACとの契約済みか確認する

契約済みサービスなら一定範囲で個別手続不要ですが、Xは現時点で一覧にありません。 

3. 使う音源が市販音源か、自作演奏かを確認する

市販CDやダウンロード音源を使うなら、著作隣接権も別途確認が必要です。 

4. 編曲や替え歌が入っていないか確認する

入っているなら、JASRACとは別に権利者への確認が必要になる可能性があります。 

5. 非商用か、広告収入等があるかを確認する

広告料等収入がある場合などは、非商用配信の前提から外れる可能性があります。 

まとめ

今回のポイントは、「JASRACに申請すれば全部OK」とは限らないということです。

Xでは、JASRACとの包括契約に乗れるYouTubeやInstagramなどとは違い、

投稿者が個別に手続を考える必要があります。

さらに、市販音源を使うなら著作隣接権、編曲や替え歌があるなら別途権利者確認

といった追加論点があります。 

つまり、Xへの歌ってみた動画投稿で本当に気をつけたいのは、

「JASRACに出したかどうか」だけではなく、

何の曲を、どの音源で、どの形にアレンジして、どの条件で投稿するかまで含めて整理することです。 

不安がある場合は、投稿前に権利関係を一度整理しておくと、

後から動画を下げることになるリスクを減らしやすくなります。

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